医師制度の国際比較

米国では弁護士のライセンスを州が交付していることは有名ですが、実は医師免許も州が管轄しています。医療の現場における医師免許の扱われ方は日本とは異なり、診療に際して専門医資格を要求されることがほとんどです。手術の熟練度、診療スキルは細かく分かれており、ハイレベルの診療に携わりたければ、相応の資格を取る必要があります。数年に1度更新されるこれらの資格は、研鑽を積み、実績を作ることで得られます。

 イギリスでも専門医資格は事実上必須です。イギリスの医療の大きな特徴は、家庭医療と専門医療とに分かれている点でしょう。家庭医療にはスクリーニングの役割があり、専門医療機関の診療が必要かどうかを判断します。家庭医療の現場は市民にとっても身近で親しまれており、決して見下されているわけではありません。医師免許の国家試験はなく、医学生として通う大学から付与されます。大学は5年間通わなければなりませんが、そこからさらに2年間研修を受ける必要があります。修了すれば専門領域が決まりますが、専門領域の研修を別途受け続けます。最後に試験を受けて合格し、晴れて診療が許されます。

 ドイツも英米と同様、診療に専門医資格を要求されます。医学大国として医師会の影響力は強大であり、専門医資格が無ければ健康保険への請求すら難しく、開業が遠のいてしまいます。

 中国は中医学の伝統を大切にしており、西洋医学部と中医学部とが共存しています。どちらも大学を卒業した後1年間インターンに従事しなければならず、修了次第、免許取得のための試験を受験することができます。因みに西洋医師免許と中医師免許とは明確に分かれており、一方が他方を兼ねるものではありません。